グローバル化の進展や新たな知識基盤社会への対応にむけ,文部科学省は2017年3月に幼稚園および小中学校の学習指導要領,2018年3月には高校学習指導要領の改正を公示した。後者は,2022年度からスタートされる予定である。なかでも高校地歴科では,選択科目・地理A・Bにかわる必修科目「地理総合」と発展的学習としての選択科目「地理探究」が新たに開設されることとなった。学校現場では地理を専門とする教員の減少が指摘されてきたが,今般の必修化により,地理教員の需要と地理再教育のニーズが急激に高まりつつある。「地理総合」では,地図と地理情報システムの活用,国際理解と国際協力,防災と持続可能な社会の構築の3つが重要項目と位置づけられたが,それらに関わる歴史地理学の研究成果は多く,同時にそれらの課題「探究」に歴史地理的視点を欠くことはできない。また小・中学校の社会および高校地歴・公民のいずれにおいても多面的・多角的見方や総合的かつ比較的視点が一層強調されたのに加え,歴史学習における地理的条件や地理学習における歴史的背景など,地歴の融合もこれまで以上に求められている。こうした地理教育をめぐる転換期に,歴史地理学会として,研究・学会活動と学校教育との連携や課題共有をはかり,議論を深化させることは大きな意味をもつと考えられる。2022年度のスタートに向けて,今こそ本格的に準備を始める必要があろう。学会員のみならず,社会科や地理・歴史教育に携わる多くの参加者の交流の場となることを期待したい。