シンポジウム「地理教育と歴史地理」特集号
■シンポジウム趣旨説明「食文化の歴史地理」研究の課題 ……… 清水 克志

■第1セッション-伝統的食文化の展開-

昆虫食に地域性と在来知識を探る ……………………………………… 野中 健一
 Ⅰ.はじめに
 Ⅱ.蜂の子食慣行にみる在来知識と地理学
 (1)獲得
 (2)蜂の子の確保
 (3)調理
 Ⅲ.蜂の子食の変容過程
 Ⅳ.在来知識の時代変化と展開
 Ⅴ.まとめ

近代移行期における「温州蜜柑=不吉」認識の形成
     ―紀北・泉州地方を中心に― …………………………… 花木 宏直
 Ⅰ.問題意識
 Ⅱ.近代移行期の温州蜜柑栽培
 (1)温州蜜柑の伝播
 (2)温州蜜柑の生産
 (3)温州蜜柑の流通
 Ⅲ.「温州蜜柑=不吉」認識の動向
 (1)「温州蜜柑=不吉」認識の特徴
 (2)「温州蜜柑=不吉」認識への疑問
 Ⅳ.温州蜜柑の利用実態
 (1)日記資料にみる和歌山市街の柑橘利用
 (2)嗜好品としての利用の増加
 (3)儀礼・祝い事への利用と不吉認識の関わり
 (4)「李夫人」呼称の意味
 Ⅴ.結論

大正後期から昭和初期の家庭料理における“うま味”の活用
  ―『聞き書・ふるさとの家庭料理』の記述から― …………… 齋藤 鮎子
 Ⅰ.はじめに
 Ⅱ.“ うま味” とは
 (1)ヒトの味覚と味の基本味
 (2)うま味を発見した日本人たち
 (3)うま味の相乗効果
 (4)うま味に関する既往研究
 Ⅲ.『聞き書・ふるさとの家庭料理』に記された料理とうま味食材
 (1)「魚と肉の鍋もの,汁もの」のうまの特徴
 (2)「すり身鍋,すり身汁」 のうま味の特徴
 (3)「精進鍋,精進汁」のうま味の特徴
 (4)「だんご汁」のうま味の特徴
 Ⅳ.料理別にみるうま味のタイプと仕立て方
 (1)うま味タイプからみる家庭料理の特徴
 (2)料理別にみる仕立てとうま味の特徴
 (3)料理別にみる野菜とうま味の特徴
 Ⅴ.おわりに

  野中健一報告・花木宏直報告・齋藤鮎子報告によせて―(中村周作)

■第2セッション-食文化の変容-

明治後期から昭和戦前期における野菜消費の変化
      ―結球白菜の普及に着目して― …………………… 清水 克志
 Ⅰ.はじめに
 Ⅱ.結球白菜の栽培機運の高まり
 (1) 軟白な漬菜への嗜好の変化
 (2) 栽培技術書の刊行
 Ⅲ.結球白菜生産・流通の拡大
 (1)結球白菜の生産状況 
 (2)結球白菜の全国的な流通
 Ⅳ.結球白菜の消費の変化
 (1)大正期における結球白菜の受容
 (2)結球白菜の大衆化
 Ⅴ.おわりに

ブロイラーの普及が鶏肉の消費量と料理法に与えた影響
      ―国と都道府県スケールでの検討― ……………… シュレーガ ベンジャミン
 Ⅰ.はじめに~ブロイラーを歴史地理的観から捉える~
 Ⅱ.日本におけるブロイラーの消費量の推移
 (1) 国のスケール
 (2) 都道府県のスケール
 Ⅲ.ブロイラーの普及に伴う食生活の変化
 (1)国のスケール
 (2)都道府県のスケール
 Ⅳ.おわりに

地域の伝統的な食に関する消費,評価,その変容
      ―奥能登地域の「なれずし」の事例から― ………… 林 紀代美
 Ⅰ.はじめに
 Ⅱ.献立の消費や評価,その変容―石川県奥能登地方の「なれずし」の事例―
 (1)なれずしの概観
 (2)調査方法
 (3)アンケート調査結果からみえること
 Ⅲ.地域の伝統的な食の変容と継承の構造
 (1)食の変容の構造
 (2)なれずしの継承の今後
 Ⅳ.おわりに

  清水克志報告・シュレーガ ベンジャミン報告・林紀代美報告によせて(野間晴雄)

■第3セッション-食と社会・食の空間-

労働者の食空間と日常生活世界
   ―1920年代の東京市深川区を事例として―…………… 湯澤 規子
 Ⅰ.はじめに
 (1)「日常生活空間史」という視点―新しい歴史地理学を目指して
 (2)研究目的と研究方法
 Ⅱ.近代日本の産業地域社会―深川区の変化に着目して
 (1)近代日本における産業地域社会の形成
 (2)東京府の産業構造と労働者の特徴
 (3)深川区の変化
 Ⅲ.労働者の食空間と日常生活世界
 (1)工場分布と労働者の居住状況
 (2)労働者の食空間にみるジェンダー
 (3)食空間と日常生活世界の再編
 Ⅳ.おわりに

明治期東京における遊廓の酒食 ………………………………… 加藤 晴美
 Ⅰ.はじめに
 Ⅱ.近代東京における遊廓の変容
 (1)東京における遊廓と私娼街
 (2)遊客数および遊興消費額の推移
 Ⅲ.遊廓における酒食の提供と消費
 (1)明治期における吉原遊廓の変容
 (2)明治前期吉原遊廓における業種の分布
 (3)明治後期吉原遊廓における酒食の提供と消費
 Ⅳ.遊廓における娼妓の接客と酒食の機能
 Ⅴ.おわりに

都市空間のなかの居酒屋 ………………………………………… 橋本 健二
 Ⅰ.はじめに:「格差社会」の到来
 Ⅱ.都市分極化と「下町」「山の手」の2 元構造
 Ⅲ.都市の第3空間としての居酒屋
 Ⅳ.「居酒屋考現学」の試み
 Ⅴ.居酒屋調査の概要
 Ⅵ.分析( 1) 結果の概要
 Ⅶ.分析( 2) 因子分析結果
 Ⅷ.考察:下町・山の手の生活空間と居酒屋
 Ⅸ.格差拡大と第3空間の危機

  湯澤規子報告・加藤晴美報告・橋本健二報告によせて(須山 聡)

総合討論

総括:シンポジウム 「食文化の歴史地理」の成果と課題 …中村 周作